Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
白石 健介*
応用物理, 61(7), p.722 - 725, 1992/00
電子線あるいはガンマ線照射による、電気抵抗率および臨界電流密度の変化に関する実験結果を基に、YBaCuOおよび(Bi,Pb)SrCaCuOの放射線照射効果について考察した。酸化物高温超電導材料の粒子線照射による、超電導転移温度および臨界電流密度の変化は、格子原子のはじき出しによるものとして理解できる。なお、非常にエネルギーの高いイオン照射では、熱スパイクによって生じる円柱状の非超電導相が、これらの超電導特性の変化に寄与する。ガンマ線の照射や荷電粒子と格子原子との電子的な相互作用によって、結晶粒界などの界面に生成するアモルファス層は、電気抵抗法で測定する臨界電流密度を低下させる。さらに、YBaCuOに比べて、(BiPb)SrCaCuOの方が、放射線照射に対する感受性が高いのは、アモルファス層が生成、成長し易いことによると考えられる。
白石 健介; 伊藤 洋; 青木 康
Japanese Journal of Applied Physics, 30(1A), p.L25 - L27, 1991/01
被引用回数:2 パーセンタイル:17.4(Physics, Applied)焼結した単相のBaYCuOペレットに室温で200keVの窒素イオンを0.3~6.010m・sの線束密度で210m程度で順次照射し、電気抵抗の温度変化を四端子法で測定した。電流密度を25kA・mより大きくして測定した超電導転移温度は上昇する。このようにして測定した転移温度の上昇が最も大きくなる照射量は、線束密度に関係なく、110m程度である。すなわち、100kA・mの電流密度で測定した転移温度は、照射前の86.5~87.1Kから、1.310m・sの線束密度で8.410mまで照射すると90.9Kまで上昇する。この照射量は200keVの窒素イオン照射によるBaYCuOの臨界電流密度改善に最適な照射量に対応しているが、この照射によって生成する欠陥は310dpaであり、試料中に入射イオンが留まらないような高エネルギーのイオン照射による臨界電流密度向上に最適な照射量より2~3桁小さい。
白石 健介; 伊藤 洋
High Temperature Superconductors, p.325 - 332, 1991/00
焼結した単相のBaYCuOペレットから切り出した試料をアルゴンイオンを照射し薄膜化した後、加速電圧200kVの電子顕微鏡を用いた電子線照射中に生じる組織の変化を連続的に直接観察した。イオンミーリングしたBaYCuO結晶では、間隔が1.17nmである(001)面の格子像に平行して、20~100nmの長さで、2~10nmの厚さの双晶薄片が観察される。また、この双晶薄片の周辺には、約10nmの大きさの欠陥集合体が優先的に生成している。通常の電子顕微鏡で組織を観察中に、欠陥集合体は徐々に大きくなり、双晶薄片は次第に消失する。これらの電子顕微鏡組織の変化は、BaYCuOペレットを電子線照射すると、電気抵抗が増加し、高電流密度で測定した超電導転移温度が上昇することとよく対応している。
白石 健介; 伊藤 洋; 加藤 隆彦*
Japanese Journal of Applied Physics, 29(3), p.L441 - L444, 1990/03
被引用回数:10 パーセンタイル:51.67(Physics, Applied)焼結したBiPbSrCaCuOペレットに室温で、1または3MeVの電子線を810mまで連続的に照射し、温度の関数として電気抵抗を測定した。3MeVの電子線を照射した試料では、照射前に105.8Kであった臨界温度は電子線の照射量に比例して8K/10mの割合で低下する。これに対して超電導転移温度附近の115Kで測定した電気抵抗率は14.7・mから1.5m/10mの変化率で上昇する。これらの(臨界温度及び電気抵抗率)の変化率は、格子のはじき出し量を単位にとると、それぞれ16K/10dpa及び3・m/10dpaで電子線のエネルギーに依存しない。さらに、電流密度を大きくして測定した超電導転移温度は、1MeV及び3MeVの電子線とも110m程度照射するとかなり上昇する。このことはMeV電子線を110dpaの程度照射することによってBiPbSrCaCuOの臨界電流密度が向上することを示している。
中村 彰夫
Studies of High Temperature Superconductors; Advances in Research and Applications,Vol. 4, p.311 - 337, 1990/00
高温超電導体における電子対形成及び超電導への一つの新しい理論的アプローチとして、筆者が現在提案を行っている多重原子価共鳴凝縮モデルについて、詳細な解説と議論を行なった。酸化物高温超電導体とA-15型合金超電導体に主要な焦点を当て、まず本モデルの示唆する結晶分子内のミクロな化学共鳴が結晶全体に一、二、三次元的にコヒーレントに拡がった量子力学的共鳴凝縮状態が高温超電導状態であるとする考えが、実際の核種超電導体に良く当てはまる事を例証した。次に、この基礎の上に導かれた超電導転移温度Tの理論式が、酸化物超電導体系での酸素の同位体効果、従来の金属系超電導におけるTM/2=constantなる関係式(BCS limit)、PdH(D)系でのHD置換に伴う逆同位体効果等の、様々の同位体効果の挙動を矛盾なく系統的に説明し得る事を示した。今後の理論の展開の方向について、最後に又議論を行なった。